こどもの本屋を始めよう

 

てんしん書房は東京の文京区、小石川にできる児童書の専門店です。
新しくできる本屋さんですが、”昔からある”本屋さんでもあります。

ぼくは神戸出身なのですが、神戸に「ひつじ書房」という老舗児童書専門店があります。現在も店主の平松二三代先生が80歳を越えるご高齢ながら営業を続けていて、その選書の確かさから児童書ファンの間では全国的に有名なお店です。
そのひつじ書房で親から買ってもらった絵本を読んでぼくは育ちました。その頃の絵本はいまも手元に置いてあります。当時は町にこどもの本屋があることを当然のように思っていましたが、とても恵まれた環境にいたのだと痛感します。ひつじ書房はそう錯覚してしまうほど神戸の町に欠かせない存在なのです。ぼくは幼い頃にひつじ書房と出会い、読書習慣を身につけました。その出会いがなければ、これまで感銘を受けた数々の作品にも出会わなかったかもしれません。

個人的な印象ですが、文京区は本屋さんがあまりありません。お気に入りだった近所の書店も残念ながら今年閉店してしまいました。
こどもたちはこの本屋の少ない町で、なにを読むのだろうか。大人になって素晴らしい作品に出会うのだろうか。いろいろと考えてしまいます。

有難いことに平松先生からひつじ書房を継ぐお話しをいただいたのですが、ぼくはこの町小石川でひつじ書房のような店を新しく始めたいと思いました。昔からあるような、町に欠かせないこどもの本屋さんを。単純ですがそんな思いが今回の開店に繋がりました。そうして昔のぼくのような本が好きなこどもたちを小石川から増やしたいと考えています。

奇しくもてんしん書房の道を挟んだ反対側にひつじ書房という学術出版社があるのですが、神戸のひつじ書房とは名前が同じですが別の企業です。この偶然に小石川へのご縁を感じます。

もうすぐ店主