『たびする木馬』原画展 10月29日(土)〜11月20日(日)

納得と驚き

「ページをめくって物語が展開していく楽しさ」を感覚的に味わえるのが、絵本の独特な魅力のひとつだとぼくは考えています。

どういうことかと言うと、これは紙の感触などとはまた別の話で、ぼくの絵本読解の師匠の教えでは【納得(守られるべき読者の信頼)と驚き(裏切るべき読者の予想)】が大事なポイントとなります。

ここでいう【納得(守られるべき読者の信頼)】とは前後のページの繋がりのこと。【驚き(裏切るべき読者の予想)】とは物語の意外性のこと。

繋がりしかない単調な作品はつまんなくて、突飛な意外性ばかりの本には置いてけぼりをくらいます。

二つの要素をバランスよく組み合わせて、読者が次の展開を想像しながらページに指をかけ、めくると、なるほどという納得とあっという驚きがある。めくるごとにこの二つを得られる作品が読者を満足させる良質の絵本だと言えるかもしれません。

動かぬ木馬、流れる年月

で、今回のこの絵本『たびする木馬』。

絵本の構造としては、見開きの真ん中にこの木馬「ブラン」が鎮座しています。

ブランは木馬なのでどの画面でもこのポジションから動きません。これがこの絵本の通奏される【守られるべき読者の信頼】。

そして長い年月、さまざまな地を旅するブランを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、読者は様々な想像をしてドキドキしながらページをめくり、そのたび次の展開に驚きます。これが【裏切るべき読者の予想】。

簡単に説明しましたが、はい、このように絵本の感覚的な特性を十分に生かした魅力的な一冊なんです、『たびする木馬』。

アリス館『たびする木馬』牡丹靖佳 原画展 10月29日(土)〜11月20日(日)

めずらしく前置きが長ったらしくなってしまいました、原画展です。三週間のロングラン。

もちろんサイン本もご用意、原画の額は牡丹さんが手作りでオリジナルのものを作ってくれています。

どうぞ皆さんこの絵本らしい絵本とその美しい原画を見にきてね〜

店主